2022年度(令和4年度)調剤報酬改定に準拠
在宅患者訪問薬剤管理指導料
公開日2023/07/05
最終更新日
本ページの内容は、2022年度(令和4年度)調剤報酬改定の内容に基づいています。
最新の情報は、目次にある「他年度の改定内容」からご参照ください。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の点数
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 1 単一建物診療患者(注1)が1人の場合
- 650点
- 2 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合
- 320点
- 3 単一建物診療患者が10人以上の場合
- 290点
- 在宅患者オンライン薬剤管理指導料
- 59点
算定上の注意点
- 同じ月に、服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料は算定できない。(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方箋によって調剤を行った場合を除く)
- 同じ月に、外来服薬支援料1、服薬情報等提供料は算定できない。
関連項目
算定要件の要約
背景
- 日本は少子高齢化による長寿社会になっていることに伴い、慢性疾患の患者割合が増加してきた。これらの患者は地域・家庭にて日常生活を送ることを望んでおり、加えて、医療資源の適正分配等の観点から在宅医療に関する施策が講じられてきた。
- 在宅医療が法律上明らかになったのは1992年の医療法であり、調剤報酬上は1994年度改定にて「在宅患者訪問薬剤管理指導料」が新設された。
- 年々、在宅医療の重要性は高まる一方であり、実施している医療機関、薬局数は増加の一途を辿っている。
- これらの背景から、薬局の機能として在宅医療への対応は強く求められており、地域支援体制加算の実績要件にも組み込まれ、2022年度改定ではその実績数も倍増するなど、地域を支える機能としてより重視される方向性が読み取れる。
要点
- 在宅で療養を行っている患者1人につき、月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者の場合は週2回かつ月8回)に限り算定できる。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出をした上で、医師の指示を受け、保険薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、薬学的管理指導を行い、医師に対して訪問結果について情報提供を行った場合に算定できる。
- 患者の介護保険被保険者証に要介護度の記載がある場合は「介護保険(居宅療養管理指導費)を優先」して算定する必要がある。
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算定要件の詳細
施設基準
なし
施設基準以外の算定要件
算定上限回数
患者1人につき、在宅患者オンライン薬剤管理指導料の算定も含めて月4回に限り算定可能である。ただし、末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者の場合は週2回かつ月8回算定可能である。
- 算定する日の間隔は6日以上空けなければならない。
- 保険薬剤師1人につき在宅訪問薬剤管理指導料1、2、3、在宅患者オンライン薬剤管理指導料の算定回数を合わせて週40回に限り算定できる。ただし、居宅療養管理指導費と介護予防居宅療養管理指導費は、その算定回数には含まれない。
算定対象患者
通院が困難なため在宅で療養を行っている患者に対して算定可能である。
「在宅での療養を行っている患者」とは、保険医療機関又は介護老人保健施設で療養を行っている患者以外の患者のことである。
算定対象外となる患者
以下に挙げる患者に対しては算定できない。
- 医師や薬剤師の配置が義務付けられている病院、診療所、施設等に入院・入所している患者
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入所者については、末期の悪性腫瘍の患者に対して実施した場合に限り、算定できる。
(出典:「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号))
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入所者については、末期の悪性腫瘍の患者に対して実施した場合に限り、算定できる。
- 他の保険医療機関や保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている患者
- 継続的な訪問薬剤管理指導の必要のない者や通院が可能な場合
(例)独歩で家族又は介助者等の助けを借りずに来局ができる場合
算定条件
1.
あらかじめ名称、所在地、開設者の氏名、在宅患者訪問薬剤管理指導(=訪問薬剤管理指導)を行う旨を地方厚生(支)局長に届け出る。
2.
医師の指示を受ける。
3.
保険薬剤師が薬学的管理指導計画を策定する。
- 後述する「補足(薬学的管理指導計画について)」を参照。
4.
患家を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況、薬剤保管状況及び残薬の有無の確認等の薬学的管理指導を行う。
- 当該保険薬局の調剤した薬剤の服用期間内に、患者の同意を得て実施する。
- 調剤を行っていない月に訪問薬剤管理指導を実施した場合は、調剤年月日及び投薬日数を調剤報酬明細書の摘要欄に記入する。
5.
当該指示を行った医師に対して訪問結果について、文書で情報提供を行う。
- 在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定する場合は、訪問診療を行った医師に対して、在宅患者オンライン薬剤管理指導の結果について文書で情報提供を行う。
- 必要に応じて処方医以外の医療関係職種に対しても、情報提供する。
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【主治医(在宅療養担当医)と連携する他の保険医の求めによって訪問薬剤管理指導を行った場合】
- 主治医にも必要な情報提供を文書で行う。
- 薬学的管理指導計画書等に主治医と連携する保険医の氏名と医療機関名を記載すること。
在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定する際に適用される算定条件
- 在宅患者オンライン薬剤管理指導により、服薬管理指導料に係る業務を実施する。
- 医薬品医療機器等法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)及び関連通知、厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成26年厚生労働省令第33号)及び関連通知に沿って実施する。
- 原則として、手帳により薬剤服用歴等及び服用中の医薬品等について確認する。また、患者が服用中の医薬品等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう必要な情報を手帳に添付又は記載する。
- 薬剤を患家に配送する場合は、その受領の確認を行う。
- 情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる。
- オンライン服薬指導のルールについては「服薬管理指導料」のページで詳しく記載している。
在宅協力薬局について
在宅協力薬局とは、訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(在宅基幹薬局)が、連携する他の保険薬局のことである。
緊急その他やむを得ない事由がある場合は、在宅基幹薬局の薬剤師に代わって訪問薬剤管理指導を行うことができる。
その場合、以下の要件を満たしている必要がある
- 薬学的管理指導計画の内容を共有している
- 患者又は患者家族等の同意を得ている
【在宅協力薬局の薬剤師が行うこと】
薬剤服用歴等を記載し、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有する。
【在宅基幹薬局が行うこと】
訪問薬剤管理指導の指示を行った医師又は歯科医師に対する訪問結果についての報告をする。
調剤報酬明細書に当該訪問薬剤管理指導を行った在宅協力薬局名及び当該訪問薬剤管理指導を行った日付を記載する。
【在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定】
在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は在宅基幹薬局が行う。
- 在宅協力薬局が処方箋を受け付け、調剤し、訪問薬剤管理指導を行った場合は、調剤技術料及び薬剤料等は在宅協力薬局で算定する。調剤報酬明細書の摘要欄には在宅協力薬局が処方箋を受け付けた旨を記載する。
薬剤服用歴等への記載事項
1.
2.
在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定に必要な事項
- 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
- 処方医から提供された情報の要点
- 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容
(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等) - 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
- 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点
留意点
- 在宅患者訪問薬剤管理指導に要した交通費は、患家の負担とする。
- 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメ-トルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
- 特殊な事情とは、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しない場合等を指す。

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注釈
注1 「単一建物診療患者」とは
在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する患者が居住する建物に居住する者のうち、当該保険薬局が訪問薬剤管理指導を実施している患者のこと。
- 介護保険(居宅療養管理指導費、介護予防居宅療養管理指導費)を算定する患者は含まない。
ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。
【「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する特殊なケース】
- 1つの患家に在宅患者訪問薬剤管理指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合 (例:夫婦のどちらにも算定する場合は650点×2で算定可能)
- 当該建築物において、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合
- 当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合
経過措置
2012年3月31日以前に訪問薬剤管理指導についての医師の指示があった患者については、保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメ-トルを超えた場合であっても算定可能である。
補足
薬学的管理指導計画 について
- 「薬学的管理指導計画」とは処方医から提供された診療状況を示す文書等に基づき、(必要に応じ、処方医に相談)他の医療関係職種(歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等及び訪問看護ステーションの看護師等)との間で情報を共有しながら、患者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものである。
- 薬剤の管理方法、薬剤特性(薬物動態、副作用、相互作用等)を確認した上、実施すべき指導の内容、患家への訪問回数、訪問間隔等を記載する。
- 薬剤服用歴等に添付する等の方法により保存する。
- 原則として、患家を訪問する前に策定する。
- 訪問後、必要に応じ新たに得られた患者の情報を踏まえ計画の見直しを行う。
- 薬学的管理指導計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合及び他職種から情報提供を受けた場合にも適宜見直しを行う。
在宅患者訪問薬剤管理指導料についての原文
他年度の改定内容
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:林 亜紀(はやし あき)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 PdM
救急医療機関にて診療報酬請求業務を担当した後、医療DXに携わりたいとの考えからエンジニアとしてメドピア株式会社へ参画。「kakari」「やくばと」のサーバーサイドエンジニアとして開発/運用を担当。現在は「kakari調剤報酬事典」の企画開発の責任者を務める。
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