チーム全員で患者さんと向き合い、
「ありがとう」をもらえる体験をkakariで
ユーアイファーマシー 南千里駅前薬局
- 管理薬剤師
- 山地 一平
株式会社ユーアイファーマシー様は兵庫県姫路市に本社を構え、関西圏を中心に19店舗を展開されています。中でも大阪府吹田市にある南千里駅前薬局では、かかりつけ登録200名(取材日時点)を優に超え、熱意を持ってkakariをご活用いただいております。今回はそんな南千里駅前薬局の管理薬剤師、山地先生にお話を伺いました。
自らkakari導入を会社へ提案、スタッフへのkakari普及と活用の促進にご尽力くださった山地先生。kakariを知ったきっかけから導入時の苦労話、今後の活用方針まで、赤裸々にお話しいただきます。
TOPICS 01患者さんの状態を細かく把握し、積極的な医師への情報提供
南千里駅前薬局は近くに千里ニュータウンがあり、また内科・眼科・耳鼻科・小児科の4診療科の医療モールの中にある薬局なので、日々様々な患者さんが来局されます。
割合としては、小児が4割、高齢の方が3割くらい。門前外の患者さんも多いですね。

スタッフは患者さんの生活にまで精通
南千里駅前薬局の店舗の最大の特徴は、患者さん一人ひとりから丁寧に話を聞いて対応していることにあると思います。
家族構成や職業、食事は何が好きか、といった患者さんの生活にまで詳しいスタッフが多いです。
例えば、在宅の患者さんには単に薬を配達するだけではなく、必要に応じて往診に同行して患者さんの状態をより詳しく把握するように努めています。
患者さんと話した内容は全て薬歴に記載しているので、担当外の薬剤師でも安心して対応できます。他店から薬剤師が来られると、いつも薬歴の充実具合に驚かれていますね。
半年で63回、医師への情報提供を実施
南千里駅前薬局には処方せんがなくても来局される方もおられます。薬のお渡しがなくても、健康相談や薬の副作用など不安に思うことを相談に来られます。
そのように細かい対応を行い、気付いたことや薬の副作用、提案事項などを、薬剤師から医師へ情報提供する機会が増えています。上半期は合計63回、月に10回程度、情報提供をしています。
しかも、処方内容に関わることであれば文面を送るだけでなくて、直接医師に話をしに行っています。
直接顔を合わせて相談すると、医師とも信頼関係が築けて、より患者さんに合った提案ができるからです。処方変更が生じると、スタッフにとって、薬剤師として認められる経験となり、モチベーションへと繋がっています。
TOPICS 02イベントでの偶然の出会い スタッフの理解を得ながらkakari導入に成功
実は処方せん送信サービスは以前から別のものを使っていました。しかし、現場にはそれほど浸透していなかったんです。
そこで、別の送信サービスの利用が検討され、会社から「処方せん送信ができる、より良いアプリ」を探すように言われていました。その折に、某卸会社のメディカルフェアに参加したのがkakariを知ったきっかけです。
南千里駅前薬局としては処方せん送信だけではなく、服薬後のフォローもしたいと考えていました。そのため、イベントでは両方できるアプリを探していたんです。
そこでたまたまkakariのブースが目に入り、詳しい説明を伺いました。
実際の画面でデモを見せてもらったんですが、第一印象は「操作がシンプルでいいな」ということ。とても使いやすそうだったので、より丁寧に説明を聞いたんです。
すると前提条件であった「処方せん送信」「服薬後のフォロー」以外にも、この3点が特に気に入りました。
- シンプルな操作性
- 薬剤師目線での画面設計
- 処方せんのFAX通知による対応漏れのしにくさ
とても良いサービスと感じたので、会社へ提案、当初は4店舗で試験運用を行い、そして最終的には、全店舗で導入することになりました。

現場でのkakari活用にはまずスタッフの理解が必要
こうして、kakari導入が決まりましたが、最初は現場の薬剤師やスタッフたちの業務負担の増加につながるのでは?との不安の声が多かったです。
具体的には、まずkakariの説明業務に対する不安ですね。
kakariはアプリを患者さんにインストールしてもらう必要がありますので、患者さんへの説明業務が生じます。それがkakariという商品の売り込みをさせられているように感じられ、患者さんに提案することに抵抗があるとの声がありました。
また、処方せん送信による外部処方せんの増加や服薬後のフォロー・kakariの説明など、新たな業務が出てくるので、それを負担に感じるスタッフも多かったです。
そこで、業務負担増加という嫌なイメージを払拭するために、まずはスタッフに「kakariがあったらこんないいことがある」「患者さんのためになる」「kakariがあることで事前に処方せんを受け付けることができ、寧ろ業務負担軽減につながる」ということを丁寧に説明し、理解してもらうことから始めました。スタッフ全員でkakariをインストールし、一連の流れを実際に体験してもらって、使いやすさを実感してもらいました。
次に、患者さんへの説明の抵抗感を払拭するために、よく来局してくださる患者さんにkakariの説明をしてもらいました。かかりつけの患者さんは特に説明を丁寧に聞いてくれるため、kakariのメリットを理解してくれ、多く患者さんがインストールしていただけました。それにより、患者さんもインストールしてくださる、kakariは患者さんのためになるということがスタッフの中に意識として芽生えます。そういう小さな成功体験を、スタッフ全員に少しずつ積んでもらえるようにしました。
kakariを使った独自の業務フローを構築
kakariは処方せん受付からお薬のお渡しまで、ステータスを都度変更しながら管理できます。さらにステータス変更時は、調剤中なのか、お渡し待ち中なのかのメッセージを患者さんに送れます。しかし、だれが・いつ・そのステータスを変更するのか、きちんと決めなければ現場が混乱すると感じました。
そこで、以下のような「kakari
3ヶ所押印票」を独自に作成し、kakariで受け付けた処方せんに対応したスタッフが、それぞれ自分のハンコを押すという業務フローを構築しました。
この業務フローについてもkakariのインストール方法と合わせて、スタッフ11人全員に1人ずつ、20分ほどかけて説明をしました。

そして薬をお渡しした後は、薬のことで不安なことがあればいつでもご連絡下さいと患者さん一人ひとりにチャットを送ります。
また、チャットで個別に相談事があった際は返信をしたスタッフは本文に必ず自分の名前を入れるようにしました。
一見手間に思えますが、事務スタッフからは「逆に作業が楽になり、わかりやすくなった」と評判が良かったです。
TOPICS 03kakariで患者さんの課題を解決 経営にも効果あり
処方せん送信機能が、患者さんの服薬状況把握につながる
処方せんの事前送信機能は、特に遠方の方にメリットが大きいです。
本当はいつもの南千里駅前薬局でお薬をもらいたいのに、病院が遠方だからその門前薬局で処方してもらう、というケースがけっこうありました。
でもkakariを使うようになって、患者さんがまとめて処方せんを持ってきてくれるようになったんです。そのおかげで、薬剤師がすべてのお薬を把握し、患者さんへのアドバイスや指導をできるようになりました。外部処方せんも増えて、経営にも良い影響が出ています。
事前ヒアリング機能による患者さんの利便性改善と業務効率化
kakariでは患者さんが処方せんを送る際、事前ヒアリングに回答できるようになっています。そこで具体的な症状や病名を書いてくださる方は、投薬前に患者さんの状態を把握することができるため重宝しています。
特に婦人科系の疾患なんかですと、患者さんとしても口にしづらい場合も多いですよね。その際に事前アンケートに疾患名や体調が記載されていると、投薬がしやすいですね。
また、この事前ヒアリング時に「投薬は○○さんにお願いします」って薬剤師を指名される患者さんもいて、指名された薬剤師としてはとても自信になりますね。

お薬手帳機能が、お母さんたちの負担を軽減
南千里駅前薬局は小児科門前でもあるので小児の患者さんが多いのですが、200名中50世帯以上で母親が家族分をkakariに登録しています。子供が3-4人いらっしゃるところなんかは、お薬手帳を人数分持ち歩くのだけでも大変です。薬を整理するのにも、とても苦労されています。
でもkakariにはお薬手帳機能があるので、お薬手帳を持ち歩いたり管理が煩雑といった負担を軽減してくれます。スマホなら忘れないですし。
kakariのインストールをお願いする際、電子お薬手帳として使えることにもメリットを感じてインストールしてくださる患者さんも多いです。
かかりつけ薬局を目指す薬局にとって、kakariが一つの武器に
たまに、患者さんから「kakariで他の薬局に処方せんを送れませんか?」と聞かれることがあります。そんなときは「kakariは一つの薬局で○○さんのすべての薬の面倒を見ることを基本としています。一つの薬局が〇〇さんのかかりつけになる。そのため、このアプリの名前はkakariなんです。」とお伝えするんです。
確かに、複数の薬局に通いたい患者さんもおられます。
でも、私達の「かかりつけ薬局として、患者さんのすべての処方箋を取り扱う」姿勢を理解してくださり、感動される患者さんもたくさんいるんです。
「kakari」って、名前がすごくいいですよね。まさに「かかりつけ薬局化支援アプリ」です。このコンセプトはかかりつけ薬局を目指す薬局にとって、一つの武器になると思います。
TOPICS 04kakariで「患者さんに頼られる薬局」へ
実は私、持病があって、昔から患者としてうちの南千里駅前薬局にお世話になっていたんです。ここに来ると、定型的な薬の説明だけでなく「ご飯は食べられてる?」「つらいことや困っていることはない?」など、いつも薬剤師さんがたくさん気にかけてくれました。前回の会話の内容も覚えていて、私に合わせた説明やアドバイスをしてくれたんです。
そんな経験から、自分もこんな薬剤師になりたいと思いました。
しかし学生実習先の薬局では、一包化などの作業を、それこそ手から血が出るほど、とにかく沢山の調剤をこなす毎日で。「ああ、調剤を沢山できる事は、私がなりたい薬剤師像じゃないな」って思ったんです。
自分が、患者として薬局を利用した際に、気にかけてもらえたように、患者さんのことを第一に考える薬剤師になりたいと思って。
だから「この患者さんの体調不良は薬が原因ではないか?」とか、「この患者さんは薬を減らしたほうがいいんじゃないか?」とかを考えて、医師にどんどん意見を持っていきました。それが健康につながれば、患者さんにとってそれほど良いことはないし、自分自身もやりがいがある。
そして何より、患者さんに「ありがとう」って言ってもらえたら、やっぱり嬉しいじゃないですか。
こういう経験が私のモチベーションです。自分が患者さんだったらこうしてほしいなって思うことを提供したいと心から思っています。

今期中にも服薬フォローをスタートさせるため、今は土台づくりに専念
だからこそ服薬フォローがしたくて、kakariを導入しました。でも、実はまだ服薬フォローは実施できていません。
というのも、スタッフ全員が服薬フォローについて理解し、業務が整理されていないと、現場が混乱してしまうと思ったからです。
今は土台を固めて、準備しています。今期中にスタートして、もっと患者さん一人ひとりに寄り添った薬局になっていきたいです。
TOPICS 05目指すのは、患者さんからの「ありがとう」を貰える薬局
そうなるためにも、うちの南千里駅前薬局全体で患者さんに向き合っていきたいです。
患者さんから「ありがとう」と言ってもらえる経験を、他の薬剤師にもたくさんして欲しい。もちろん、それだけのために仕事をするわけじゃありませんが、モチベーションになるのは間違いないと思うんです。
薬剤師がより患者さんに向き合うためにはどうしたらいいのか。何が必要なのか。その原点を意識して、打ち出した施策の1つが「kakariの活用」でした。
患者さんと向き合う時間をつくるため、業務負荷を減らせるようkakariを活用する。患者さんにもっと頼ってもらえるよう、kakariを活用する。そうやって、少しずつ患者さんからの「ありがとう」をもらえる薬局にしていきたいと思っています。
