2022年度(令和4年度)調剤報酬改定に準拠
かかりつけ薬剤師包括管理料
公開日2023/07/05
最終更新日
本ページの内容は、2022年度(令和4年度)調剤報酬改定の内容に基づいています。
最新の情報は、目次にある「他年度の改定内容」からご参照ください。
かかりつけ薬剤師包括管理料の点数
- かかりつけ薬剤師包括管理料
- 291点
算定上の注意点
服薬管理指導料又はかかりつけ薬剤師指導料は併算定不可である。
下記に挙げる点数以外は、かかりつけ薬剤師包括管理料に包括されるため算定不可である。
- 薬剤調製料の時間外等加算、夜間・休日等加算、在宅患者調剤加算
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合に限る。)
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 退院時共同指導料
- 経管投薬支援料
- 使用薬剤料
- 特定保険医療材料
算定要件の要約
背景
- 患者本位の医薬分業の実現に向けて、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して対応するいわゆる「かかりつけ」に対する評価として2016年度改定で新設された。
- 処方箋調剤時のみならず、日常生活の中でも頼れる存在としての役割が求められており、24時間相談に応じることや細かい服薬管理などの手厚い支援が要件になっている。
- かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の算定は、地域支援体制加算を取得するための施設基準として必須であり、より充実した薬局機能を果たす上で、薬剤師個々としてもかかりつけとしての在り方が期待されている。
要点
- かかりつけ薬剤師包括管理料は「地域包括診療料・加算、認知症地域包括診療料・加算(医科)」の算定患者が対象のため、連携医療機関と確認の上、算定の判断をする必要がある。
- 3年以上の経験を有する薬剤師の在籍、薬剤師認定制度認証機構等の研修認定の取得、医療に係る地域活動の取組への参画等の施設基準を満たす必要がある。
- 当該指導料の算定対象となるのは当該薬局に複数回来局している患者であり、かかりつけ薬剤師を持つことの意義を説明し、同意を取得する必要がある。同意を得たその場では算定不可能であり、次回の処方箋受付時以降に算定可能となる。
- かかりつけ薬剤師が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる。
算定要件の詳細
施設基準
体制要件
1.
以下の要件を全て満たす保険薬剤師が配置されていること。
- 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として継続して3年以上の薬局勤務経験がある。
- 保険医療機関の薬剤師としての勤務経験を1年以上有する場合、1年を上限として保険薬剤師としての勤務経験の期間に含めることができる。
- 当該保険薬局に週32時間以上(育児・介護等で時短勤務を行う薬剤の場合(注1)は週 24時間以上かつ週4日以上)勤務している。
- 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に継続して1年以上在籍している。
保険薬剤師の在籍・勤務期間に関してですが、届出時における「直近」の「連続した」在籍・勤務期間が必要となるので注意してください。
何らかの事情で一度退職して再雇用されているという場合や産休・育休の期間を経て復帰した場合、再雇用もしくは復帰以前に当該薬局に在籍していた期間や、勤務期間は計算に含めることができません。- 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として継続して3年以上の薬局勤務経験がある。
2.
薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること
3.
医療に係る地域活動の取組に参画していること
4.
患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること
届出に関する事項
様式90を用いること。
施設基準以外の算定要件
算定対象患者
以下に挙げる2つの要件を満たす場合に算定可能である。
1.
再診料の地域包括診療加算(医科点数表)、再診料の認知症地域包括診療加算(医科点数表)、地域包括診療料(医科点数表)、認知症地域包括診療料(医科点数表)のいずれかを算定している患者である。
2.
当該薬局に複数回来局している患者に対して、患者の同意を得る。次回の処方箋受付時以降に算定可能である。
- 1人の患者に対して、1か所の保険薬局における1人の保険薬剤師のみについてかかりつけ薬剤師包括管理料を算定できるものであり、同一月内は同一の保険薬剤師について算定する。
患者の同意について
かかりつけ薬剤師包括管理料を算定するには、別紙様式2を参考に作成した同意書に、かかりつけ薬剤師に希望する事項及び署名の記載を求め、同意を得る必要がある。
同意を得るにあたって、かかりつけ薬剤師本人が次に掲げる全ての事項を説明する。
【説明事項】
- かかりつけ薬剤師の業務内容
- かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等
- かかりつけ薬剤師包括管理料の費用
- 当該指導料を算定しようとする薬剤師が、当該患者がかかりつけ薬剤師を必要とすると判断した理由
かかりつけ薬剤師についてご説明するためのチラシをご用意しました。是非ご活用ください。
同意書は、当該保険薬局において保管し、当該患者の薬剤服用歴等にその旨を記載する。
さらに、かかりつけ薬剤師に関する情報を文書により提供する。
- 2018年4月1日前に取得した同意は、上記の要件に関わらず効力を発揮する。ただし、患者が同意の取消しを申し出た場合は、無効になる。
算定条件
かかりつけ薬剤師が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる。
具体的な内容は以下の通りである。
服薬指導
かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して、以下の服薬指導等を行う。
- 患者の理解に応じた適切な服薬指導を行う
- 患者の意向を確認した上で、服薬指導等の内容の手帳等への記載する
- かかりつけ患者の全ての保険医療機関の処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)と健康食品等についての全ての内容を薬剤服用歴等に記載する。また、保険医療機関や他の保険薬局で、かかりつけ薬剤師がいることを申告するように説明する。
- 患者から24時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えたり、勤務表を作成して患者に渡す。(かかりつけ薬剤師以外の別の保険薬剤師が相談等に対応する場合があるときは、あらかじめ説明した上で、その保険薬剤師の連絡先も伝える。)
- かかりつけ患者が他の保険薬局等で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を薬剤服用歴等に記載する
- 調剤後も定期的に患者のフォローアップを行い、その内容を薬剤を処方した保険医に情報提供し、必要に応じて処方提案する。(電話による連絡、患家への訪問、患者の来局時など)フォローアップによって服用中の薬剤に係る重要な情報を知ったときは、患者に情報を提供し、患者への指導等の内容と情報提供した内容を薬剤服用歴等に記載する。
- 患者にブラウンバッグ運動(注2)の意義等を説明し、実施する。また、必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行う。
- 訪問に要した交通費(実費)は、患家の負担とする。
- 患者の同意が得られた場合は、必要に応じて血液・生化学検査結果を参考として、薬学的管理と指導を行う。
お薬手帳への記載
かかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する。
かかりつけ患者以外の対応
かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する患者以外の患者への服薬指導等や、地域住民からの要指導医薬品等の使用に関する相談及び健康の維持増進に関する相談に対しても、丁寧に対応する。また、必要に応じて保険医療機関へ受診勧奨を行うよう努める。
かかりつけ薬剤師が時短勤務の場合の対応
育児・介護等で時短勤務を行う薬剤師が算定する場合には、次に掲げる対応を行う。
- 同意取得に当たり、勤務時間が通常より短いことを説明する。
- 患者に渡す勤務表には、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」で定める期間であるため短時間勤務となっている旨を記載する。
- 同じ薬局の他の保険薬剤師とかかりつけ患者についての情報を共有し、自身の不在時に患者から問い合わせがあった場合等に、自身と連絡を取るなどして円滑に対応できる体制を整えておく。
保険医への対応
患者の服薬状況等を随時把握し、保険医に対してその都度情報提供し、必要に応じて処方提案する。
- 情報提供の要否、方法、頻度等について、あらかじめ保険医と相談して合意が得られている場合は、その合意に基づいた方法等で行う。
留意点
患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行うことを原則とする。
やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が業務を行えない場合は、当該保険薬局に勤務する他の保険薬剤師が服薬指導等を行っても差し支えないが、かかりつけ薬剤師包括管理料は算定できない(要件を満たす場合は、服薬管理指導料を算定可能)。
この場合、他の保険薬剤師が服薬指導等で得た情報については、薬剤服用歴等に記載するとともに、かかりつけ薬剤師と情報を共有すること。
注釈
注1 「育児・介護等で時短勤務を行う薬剤師」とは
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第 76号)第16条の8で定める期間に、当該保険薬局の勤務時間が週32時間に満たない薬剤師のこと。
注2 「ブラウンバッグ運動」とは
継続的な薬学的管理のため、患者に対して、服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を必要に応じて提供すること。
かかりつけ薬剤師包括管理料についての原文
他年度の改定内容
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:林 亜紀(はやし あき)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 PdM
救急医療機関にて診療報酬請求業務を担当した後、医療DXに携わりたいとの考えからエンジニアとしてメドピア株式会社へ参画。「kakari」「やくばと」のサーバーサイドエンジニアとして開発/運用を担当。現在は「kakari調剤報酬事典」の企画開発の責任者を務める。
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