2022年度(令和4年度)調剤報酬改定に準拠
服薬情報等提供料2
公開日2023/07/05
最終更新日
本ページの内容は、2022年度(令和4年度)調剤報酬改定の内容に基づいています。
最新の情報は、目次にある「他年度の改定内容」からご参照ください。
服薬情報等提供料2の点数
- 服薬情報等提供料2
- 20点
算定上の注意点
- かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合は、算定しない。
- 服薬情報等提供料 1、2、3をそれぞれ同一月に1回算定することは可能だが、同一の情報を同一保険医療機関に対して提供した場合は算定できない。
関連項目
算定要件の要約
背景
- いわゆる「トレーシングレポート」に係る業務が評価される点数項目であり、本行為は一連の調剤・薬学的管理の中で算定されるものであるという整理から2012年度改定で旧来の点数が統合され「服薬情報等提供料」として新設された。
- 以降、医療機関からの求めに応じての情報提供のみならず、薬剤師の必要性の判断での算定も可能になるなど、対人業務領域での薬剤師の職能発揮が期待される項目の一つである。
- 服薬情報等提供料は「地域支援体制加算」の実績要件にも組み込まれており、薬局に求められる機能として、処方箋調剤時のみならず日常への介入を評価する項目となっている。
- また、調剤報酬(健康保険法)ではなく、薬機法でも「地域連携薬局」の認定にはトレーシングレポートについての実績要件が求められており、薬剤師の対人業務の中核の一つと言える。
要点
- 服薬情報等提供料は、患者へのフォローアップや、患者への情報提供又はトレーシングレポートの作成によって、医師の処方設計と患者の服薬の継続又は中断の判断の参考とする等、保険医療機関と保険薬局の連携の下で医薬品の適正使用を推進することを目的とするものである。
- 服薬情報等提供料1は「医療機関の求め」が対象であり、服薬情報等提供料2は「薬剤師の必要性判断や患者の求め等」が対象とそれぞれ異なるので注意。
- また、かかりつけ薬剤師指導料等を算定している場合は当該点数が包括されているため算定できないが、地域支援体制加算の実績要件のカウントには加えることができる。
服薬情報提供料1、2、3の比較は以下の通りである。

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算定要件の詳細
施設基準
体制要件
特別調剤基本料を算定している保険薬局で、不動産取引等その他の特別な関係を有している保険医療機関へ情報提供を行った場合は、算定できない。
施設基準以外の算定要件
算定上限回数
月1回に限り算定可能である。
患者1人につき同一月に2回以上服薬情報等の提供を行った場合においても、月1回のみの算定である。
ただし、複数の保険医療機関又は診療科に対して服薬情報等の提供を行った場合は、当該保険医療機関又は診療科ごとに月1回に限り算定できる。
算定条件
算定にあたって、以下の条件がそろっていなければならない。
①
患者や患者家族等の求め、又は保険薬剤師によって必要だと認められること
②
患者の同意
患者の同意に関しては後述する補足(「本人の同意」の考え方)を参照。
③
調剤後における患者の服用薬及び服薬状況の把握(フォローアップ)
④
患者又はその家族等又への情報提供・指導等、もしくは保険医療機関への情報提供(トレーシングレポートの作成)
患者又はその家族等への情報提供
患者や患者家族等の求めに応じて、速やかに以下に掲げる情報を提供する。
【患者に対する情報提供内容】
- 緊急安全性情報、安全性速報や医薬品・医療機器等安全性情報など、処方箋受付時に提供した薬剤情報以外の情報で患者の服薬期間中に新たに知り得た情報
- 患者の服薬期間中に行った服薬状況の確認及び必要な指導の内容
【薬剤服用歴等への記録】
患者の服薬期間中に情報提供した事項、服薬期間中及び処方箋受付時に確認した患者の服薬状況等及び指導等について、情報提供の都度、薬剤服用歴等の記録に記載する。
- 情報提供時ではなく、次回以降の来局時に患者の状態等の確認及び必要な指導を行った場合に算定可能であることに注意してください。
保険医療機関への情報提供
保険医療機関への情報提供については、服薬状況等を示す情報を文書により提供する。
以下に掲げる情報を提供する。
【保険医療機関に対する情報提供内容】
- 当該患者の服用薬及び服薬状況
- 当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等
- 当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報
- 処方箋の記入上の疑義照会等では算定できない。
- 情報提供の必要性を認めた理由
【薬剤服用歴等への記録】
保険医療機関への情報提供内容について、薬剤服用歴に記録する。(文書等の写しを薬剤服用歴等に添付する等の方法により保存)
- 算定できるケースには、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、処方箋を発行した保険医療機関に対して情報提供を行った場合が含まれる。
留意点
服薬期間中の体調の変化等の患者の訴えや自覚症状がある場合
患者の自覚症状が薬剤の副作用によるものか否かに関する分析結果も含めて情報提供する。
また、患者に対する服薬指導は、その分析結果を踏まえたものとする。
患者の自覚症状の分析に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とする。
補足
「本人の同意」の考え方
個人情報保護法により、個人情報の第三者への提供は「本人の同意」が原則義務付けられているため、服薬情報提供にあたっても患者の同意が必要となる。
以下の場合に「本人の同意」があったものと考えることができる。
①
適切な医療サービスを提供する目的において個人情報の利用範囲を施設内への掲示してい場合
患者側から特段明確な反対・留保の意思表示がない場合には、個人情報の利用について同意が得られているものと考えられる。
②
要配慮個人情報を書面又は口頭等により本人から適正に直接取得する場合
本人が情報を提供したことをもって、当該情報を取得することについて本人の同意があったものと解される。
(出典:医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(平成29年4月14日通知、令和5年3月29日最終改正)【令和5年4月1日施行】)
服薬情報等提供料2についての原文
他年度の改定内容
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:林 亜紀(はやし あき)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 PdM
救急医療機関にて診療報酬請求業務を担当した後、医療DXに携わりたいとの考えからエンジニアとしてメドピア株式会社へ参画。「kakari」「やくばと」のサーバーサイドエンジニアとして開発/運用を担当。現在は「kakari調剤報酬事典」の企画開発の責任者を務める。
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