2026年度(令和8年度)調剤報酬改定の内容に準拠
門前薬局等立地依存減算
公開日2026/05/28
最終更新日
門前薬局等立地依存減算の点数
本減算は令和8年度改定において新設されたものであり、調剤報酬点数表の調剤基本料「注15」に規定される。
| 項目 | 改定前(令和6年度) | 改定後(令和8年度) |
|---|---|---|
| 門前薬局等立地依存減算 | — | ▲15点【新設】 |
令和8年度改定の重要変更点:本減算は、薬局、薬剤師、医薬品等の医療資源の分散を防止して地域における効果的な医薬品供給体制の整備を推進すること、また、国民が受ける医療の質の向上の観点からポリファーマシーをはじめとする医薬品に関する諸問題に対して効果的に対処できる体制の整備を促進することを目的として新設された。具体的には、薬局が特定の医療機関の処方箋に依拠する「門前薬局」ではなく、地域全体を「面」として支える体制(面分業)の整備を推進する観点から導入されたものである。
算定上の注意点
- 特別調剤基本料Aを算定している保険薬局は、本減算の対象外である(特別調剤基本料Aの時点で低い点数が設定されているため)。
- 本減算の適用は令和8年6月1日以降に新規開設する薬局のみが対象であり、令和8年5月31日において現に保険指定を受けている既存薬局は当面の間、対象外とする経過措置がある。
- 最低点数保証として、各種加算・減算の適用後、点数が3点未満になる場合は3点を算定する。
当該減算の対象となる点数区分
算定要件の要約
背景
「患者のための薬局ビジョン」(平成27年10月策定)では、2025年までに全ての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つこと、2035年には立地も地域へ移行することが目標として掲げられた。しかし、策定後10年が経過しても、処方箋集中率が高い薬局(いわゆる門前薬局)の割合はむしろ増加しており、薬局が医療モールを経営する事例もあるなど、目標達成の目処が立たない状況にある。
こうした状況を踏まえ、令和8年度改定では、都市部における門前薬局の新規出店を抑制し、面分業を推進するための施策として、門前薬局等立地依存減算が新設された。
要点
- 令和8年6月1日以降に新規開設する薬局のみが対象である。既存薬局には適用されない。
- 都市部(特別区及び政令指定都市。ただし半径500m以内に他の保険薬局がない地点を除く。)に所在する薬局のうち、処方箋集中率が85%超であり、かつ大規模病院の周辺や薬局密集地域に立地する場合に適用される(施設基準(1))。
- 医療モール内に所在し、処方箋集中率が85%超の新規開設薬局にも適用される(施設基準(2))。
- 特別調剤基本料Aを算定している薬局は対象外。
算定要件の詳細
施設基準
次の(1)又は(2)のいずれかに該当する保険薬局(特別調剤基本料Aを算定しているものを除く。)であること。
(1) 都市部の門前薬局・密集薬局
次のイからハまでのいずれにも該当する保険薬局であること。
イ 都市部に所在し、かつ近隣に他の保険薬局があること
都市部(特別区及び政令指定都市の地域。ただし、当該保険薬局から半径500m以内に他の保険薬局がない地点を除く。)に所在し、かつ、水平距離500m以内に他の保険薬局があること。
ロ 処方箋集中率が高いこと
特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%超であること。
処方箋集中率の計算においては、令和8年度改定から、医療モール内(医療ビレッジ内を含む)の複数の保険医療機関は全て1つの医療機関とみなして合算して算出する点に留意が必要である。
ハ 以下のいずれかの立地要件に該当すること
- ① 200床以上の保険医療機関の敷地境界線からの水平距離が100m以内の区域内に所在し、当該保険医療機関の敷地内又は当該区域内に他の保険薬局が2以上所在すること。
- ② 当該保険薬局の周囲50m以内の区域に、他の保険薬局が2以上所在すること。
- ③ 当該保険薬局の周囲50m以内の区域に所在する他の保険薬局が②に該当すること。
①は大型病院の門前に集中する薬局、②は薬局が密集するエリア、③は②の「隣接薬局」にも減算を拡張する規定である。たとえば、A薬局の周囲50mに他の薬局が2つ以上ある場合(②に該当)、A薬局から50m以内に所在するB薬局は③に該当し、B薬局自身の周囲50m以内に2つ以上の薬局がなくても減算の対象となる。
(2) 医療モール内の新規開設薬局等
次のイ及びロに該当する保険薬局であること。
イ
特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%超であること。
ロ
保険医療機関と同一の敷地内又は建物内に所在すること。
この規定は、医療モール内で新規に薬局を開設し、かつ処方箋集中率が高い場合に適用される。(1)の「都市部」要件は課されないため、都市部以外の地域であっても、医療モール内に所在し集中率が85%超であれば対象となる。
経過措置
令和8年5月31日において現に保険指定を受けている薬局については、当面の間、門前薬局等立地依存減算の施設基準に該当しないものとする。つまり、既存薬局には適用されず、あくまで令和8年6月1日以降の新規開設薬局が対象である。
届出に関する事項
- 門前薬局等立地依存減算の施設基準に係る届出は、様式84(調剤基本料の届出書)にて届出を行う。
減算の計算順序における位置付け
門前薬局等立地依存減算は、加算・減算の計算順序において以下の位置に適用される(調剤基本料の加算・減算の計算順序の詳細は「調剤基本料」ページを参照)。
1.
まず所定点数に「注3」(100分の80)及び「注4」(100分の50)のうち該当するものを乗じ、小数点以下第一位を四捨五入する。
2.
次に、地域支援・医薬品供給対応体制加算、連携強化加算、バイオ後続品調剤体制加算、後発医薬品減算、在宅薬学総合体制加算1・2、電子的調剤情報連携体制整備加算及び門前薬局等立地依存減算のうち該当するものを加算・減算する。
3.
上記の計算結果が3点未満になる場合は、3点を算定する。
実績要件の判定
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判定期間 | 前年5月1日~当年4月末日までの1年の実績(処方箋集中率等) |
| 適用期間 | 当年6月1日~翌年5月末日 |
| 届出方法 | 様式84(調剤基本料の届出書にて届出) |
門前薬局等立地依存減算についての原文
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 医師プラットフォームメディア推進部 ドクターエンゲージメントグループ 薬剤師
薬剤師としての実務経験を活かし、かかりつけ薬局アプリ「kakari」の企画/開発を担う。現在は、専門医のための臨床研鑽アプリ「ClinPeer」の普及拡大ならびにコンテンツ企画を担当。各領域の専門医と協力し、集合知を形成することで最新医療が臨床に適用されていくサイクル(プラクティスチェンジ)を促進し、医療への貢献に邁進している。その他、埼玉県薬剤師会青年部部会長や保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
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