2024年度(令和6年度)調剤報酬改定の内容に準拠
在宅移行初期管理料
公開日2024/05/30
最終更新日
在宅移行初期管理料の点数
- 在宅移行初期管理料
- 230点
算定上の注意点
算定要件の要約
背景
- より適切な服薬管理・服薬支援ができるよう、退院直後など計画的に実施する訪問薬剤管理指導の前段階で患家を訪問し、多職種と連携することを評価するものとして、2024年度改定で新設された。
- 日ごろから地域の医療機関や多職種連携が求められ、薬剤師としての専門性発揮による地域医療貢献が期待される。
要点
- 在宅移行初期管理料は、在宅での療養に移行する予定の患者に対して、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等の多職種と連携しながら、必要な薬学的管理及び指導を行うことを評価するものである。退院時の処方内容を踏まえた薬剤の調整、残薬の整理、適切な服薬方法の提案等が実施する業務内容に含まれる。
- 個人在宅のみ算定可能である。
- 初めの1回しか算定できない。
- 対象患者は、在宅での療養に移行する予定の以下の患者に限定される。
- 認知症患者、精神障害患者であり自己での服薬管理が困難な患者
- 障害児(18歳未満)
- 乳幼児(6歳未満)
- 末期がん患者
- 注射麻薬の投与が必要な患者
- 計画的に実施する訪問薬剤管理指導とは別で、かつ前の日に患家を訪問する必要がある
算定要件の詳細
施設基準
体制要件
- 当該点数を算定するにあたり、上記が必須となるため、必然的に上記点数の算定要件を満たす体制を備える必要がある。
施設基準以外の算定要件
算定上限回数
下記を初めて算定した月に1回のみ算定可能
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 居宅療養管理指導費
- 介護予防居宅療養管理指導費
- いずれも単一建物診療患者が1人の場合
算定対象者
1.
在宅療養への移行予定のある、通院が困難な患者であり、
2.
下記の①、②を共に満たし、
3.
保険薬剤師が訪問し、特に重点的な服薬支援の必要があると判断したもの
①
対象疾患等
- 認知症患者、精神障害患者であり自己での服薬管理が困難な患者
- 障害児(18歳未満)
- 乳幼児(6歳未満)
- 末期がん患者
- 注射麻薬の投与が必要な患者
②
下記に係る医師の指示
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 居宅療養管理指導費
- 介護予防居宅療養管理指導費
- いずれも単一建物診療患者が1人の場合
算定条件
1.
当該患者の訪問薬剤管理指導をする保険薬局であること。
2.
当該患者が指定した保険薬局の保険薬剤師が行うこと。
3.
患者の同意を得ること。
4.
保険医療機関等と連携すること。
5.
以下の業務を実施すること。
- 患者と家族等から薬学的管理に必要な情報を収集する
- 服薬状況
- 住居環境
- 家族関係 等
- 残薬確認と整理 並びに服薬管理方法の検討と調整
- 必要に応じて医師等と使用する薬剤の内容の調整
- 日常の服薬管理を適切にできるようにすることが目的
- 例:ポリファーマシーへの対応
- 例:服用回数を減らす
- 在宅療養に必要な情報を保険医療機関を含む多職種と共有
- 退院直後の患者は入院していた医療機関と連携し、下記などに係る情報提供文書を活用し服薬支援を実施(することが望ましい)
- 入院中の処方内容
- 退院に関する指導内容
- 患者と家族等から薬学的管理に必要な情報を収集する
6.
医師およびケアマネジャーへ文書での情報提供をすること。
7.
計画的に実施する訪問薬剤管理指導とは別で、かつ前の日に患家を訪問し、上記の業務を実施すること。
留意点
在宅移行初期管理に要した交通費は、患家の負担とする。
在宅療養の充実を目的に、退院後かつ在宅での薬物治療(服薬指導)が始まる前の段階における、薬剤師による情報収集と多職種への連携が評価されました。
在宅介入前の残薬把握や整理をしていた薬局もすでにありますが、それが評価された形となりました。
在宅移行初期管理料についての原文
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:山田 輝(やまだ ひかる)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
新卒時は、調剤のみならず地域住民の生活全体を捉えたくドラッグストアに入職。OTCに加え日用品や介護用品を身近に感じながら、調剤をメインに薬局業務に従事した。今後の薬局の在り方として「DXによるかかりつけ化」は切り離せないものと感じ、メドピア株式会社へキャリアチェンジ。店舗管理業務やレセプト請求業務の経験を活かし、現在は「やくばと」や「kakari」の営業職として、日々医療機関及び薬局法人を相手に業務を遂行している。
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