2024年度(令和6年度)調剤報酬改定の内容に準拠
特定薬剤管理指導加算1
公開日2024/05/30
最終更新日
特定薬剤管理指導加算1の点数
- 特定薬剤管理指導加算1
- イ
- 10点 (新規処方)
- ロ
- 5点 (用法又は用量の変更もしくは副作用当の状況に応じた薬剤師の判断)
算定上の注意点
- 特別調剤基本料Bを算定する薬局の場合、服薬管理指導料とかかりつけ薬剤師指導料が算定できない。そのため、それらの加算である特定薬剤管理指導加算1も特別調剤基本料Bを算定する薬局では算定不可である。
- 特定薬剤管理指導加算2の算定に係る悪性腫瘍剤と制吐剤等の支持療法に係る薬剤以外を対象として、特定薬剤管理指導加算1の算定要件を満たした場合は、併算定ができる。
- 特定薬剤管理指導加算2の算定に係る悪性腫瘍剤と制吐剤等の支持療法に係る薬剤を対象として、特定薬剤管理指導加算1の算定要件を満たした場合、特定薬剤管理指導加算2を算定している同一月内での算定はできない。
- イとロは併算定不可である。
関連項目
算定要件の要約
背景
- いわゆるハイリスク薬(注1)については適正使用ができていないことで患者に大きな健康被害を及ぼすものであるため、薬剤師の専門的能力を活かすことで、適正かつ安全な使用ができるよう2010年度改定で新設された。
- 薬学的知見を最大限活かすことが求められる点数であり、薬剤師の対人業務の中核の一つと言える。
- 2024年度(令和6年度)調剤報酬改定において、ハイリスク薬等の特に重点的な服薬指導が必要な場合における業務実態を踏まえ、算定対象となる時点等が見直され、明確化された。
- また、2024年度(令和6年度)調剤報酬改定では、より丁寧な説明を実施する必要がある場合として新たに特定薬剤管理指導加算3が新設された。ハイリスク薬に関する情報提供・服薬支援については薬剤師の専門性をさらに活かしていくことが期待されている。
要点
- 通常の服薬指導に加え、ハイリスク薬にカテゴリされる薬効群等ごとに、疾患の治療状況に応じた服薬管理の徹底や副作用発生時の対応方法など、個別に必要とされる事項を指導することで算定できる。
- 2022年度改定ではハイリスク薬が「複数処方されている場合には、その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。」とあったが、2024年度改定にてその記載がなくなった。(全てではなくなった。)
(出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 保医発0304第1号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和4年3月4日)
(出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日)
算定要件の詳細
施設基準
なし
施設基準以外の算定要件
算定上限回数
処方箋の受付1回につき1回のみ算定可能である。
算定対象患者
イ:
ハイリスク薬が新たに処方された患者へ必要な指導を行った場合
ロ:
次のいずれかに基づき、保険薬剤師が必要と認めて指導を行った場合
- ハイリスク薬に係る用法又は用量の変更
- ハイリスク薬に係る副作用の発現状況、服薬状況等の変化
算定条件
- 「特に安全管理が必要な医薬品」について、患者又はその家族等に当該薬剤が「特に安全管理が必要な医薬品」である旨を伝え、指導を行う。
- 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、保険薬剤師が必要と認める薬学的管理及び指導を行う。
- 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴等に記載する。
- 従来と同一の処方内容の場合は、「ロ」として特に指導が必要と保険薬剤師が認めた場合に限り算定することができるが、この場合において、特に指導が必要と判断した理由と指導の要点を薬剤服用歴等に記載すること。
特定薬剤管理指導加算1の算定対象となる「特に安全管理が必要な医薬品」とは
以下の薬品のことである
- 抗悪性腫瘍剤
- 免疫抑制剤
- 不整脈用剤
- 抗てんかん剤
- 血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)
- ジギタリス製剤
- テオフィリン製剤
- カリウム製剤(注射薬に限る。)
- 精神神経用剤
- 糖尿病用剤
- 膵臓ホルモン剤
- 抗HIV薬
具体的な対象薬剤は厚生労働省のホームページにその一覧を掲載。
(出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日)
ただし、上記の薬剤には他の効能を有するものもあり、その処方目的が本加算で「特に安全管理が必要な医薬品」と定める効能と異なる際は算定できない。
注釈
注1 「ハイリスク薬」とは
「ハイリスク薬」については、医療提供施設によりその定義が異なることがある。
「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)」では、「ハイリスク薬」を3つの分類によって定義している。中には、特定薬剤管理指導加算1の算定対象外の薬剤も含まれているので注意されたい。
補足
「ハイリスク薬」の薬学的管理指導
ハイリスク薬の薬学的管理指導には以下のことが求められる
- 患者が医師から受けた説明や指導内容を積極的に聴取すること。
- 薬剤師の視点から、患者の基本情報、心理状態、生活環境などの情報を収集し、副作用回避・有効性確認、医薬品適正使用などの薬学的管理に活用すること。
- 情報収集の過程で疑義が生じた場合は、処方医に適切な照会・情報提供を行うこと。
- 服薬期間中のアドヒアランスを行ったり、他医療機関から処方された併用薬や一般用医薬品等の使用の有無を確認すること。
- 薬力学及び薬物動態学的視点から、定期的に副作用や相互作用のモニタリングを行うことで、患者の健康被害の防止及び早期発見に努め、健康被害発生時には患者自身が適切な対応がとれるような指導を行うこと。
薬学的管理指導において特に注意すべき共通事項項目は以下の通りである。
1.
患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
2.
服用患者のアドヒアランスの確認(飲み忘れ時の対応を含む)
3.
副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育
4.
効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
5.
一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認
これら5項目を共通とし、各薬効群に対応した確認項目が追加される。
詳しくは「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)」を参照。
(出典:「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)」(日本薬剤師会)
特定薬剤管理指導加算1についての原文
他年度の改定内容
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:山田 輝(やまだ ひかる)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
新卒時は、調剤のみならず地域住民の生活全体を捉えたくドラッグストアに入職。OTCに加え日用品や介護用品を身近に感じながら、調剤をメインに薬局業務に従事した。今後の薬局の在り方として「DXによるかかりつけ化」は切り離せないものと感じ、メドピア株式会社へキャリアチェンジ。店舗管理業務やレセプト請求業務の経験を活かし、現在は「やくばと」や「kakari」の営業職として、日々医療機関及び薬局法人を相手に業務を遂行している。
お問い合わせについてのご案内
当サイトでは調剤報酬に関する直接のお問い合わせには対応しておりません。調剤報酬算定に関する詳細な情報や具体的な質問については、厚生労働省またはお近くの地方厚生局に直接お問い合わせいただくようお願い申し上げます。
免責事項:当サイトに掲載されている情報の正確性には万全を期しておりますが、解釈に幅があるもの、関係機関や担当者によって対応が異なる可能性がございます。利用者が当サイトの情報を用いて行う一切の行為について、当社は責任を負いません。