2024年度(令和6年度)調剤報酬改定の内容に準拠
服薬情報等提供料1
公開日2024/05/30
最終更新日
服薬情報等提供料1の点数
- 服薬情報等提供料1
- 30点
算定上の注意点
- かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合は、算定しない。
- 服薬情報等提供料 1、2、3をそれぞれ同一月に1回算定することは可能だが、同一の情報を同一保険医療機関に対して提供した場合は算定できない。
- 特別調剤基本料を算定している場合は一部を除き、算定不可能である。
A:
情報提供先が特別な関係を有する医療機関である場合は算定不可能
つまり敷地内薬局→敷地内医療機関への情報提供の場合は不可能
B:
いずれの場合においても算定不可能
関連項目
算定要件の要約
背景
- いわゆる「トレーシングレポート」に係る業務が評価される点数項目であり、本行為は一連の調剤・薬学的管理の中で算定されるものであるという整理から2012年度改定で旧来の点数が統合され「服薬情報等提供料」として新設された。
- 以降、医療機関からの求めに応じての情報提供のみならず、薬剤師の必要性の判断での算定も可能になるなど、対人業務領域での薬剤師の職能発揮が期待される項目の一つである。
- 服薬情報等提供料は「地域支援体制加算」の実績要件にも組み込まれており、薬局に求められる機能として、処方箋調剤時のみならず日常への介入を評価する項目となっている。
- また、調剤報酬(健康保険法)ではなく、薬機法でも「地域連携薬局」の認定にはトレーシングレポートについての実績要件が求められており、薬剤師の対人業務の中核の一つと言える。
要点
- 服薬情報等提供料は患者へのフォローアップを行い、保険医療機関に患者の服用薬や服薬状況に関する情報を提供することにより、医師の処方設計及び患者の服薬の継続又は中断の判断の参考とする等、保険医療機関と保険薬局の連携の下で医薬品の適正使用を推進することを目的とするものである。
- また、かかりつけ薬剤師指導料等を算定している場合は当該点数が包括されているため算定できないが、地域支援体制加算の実績要件のカウントには加えることができる。
服薬情報等提供料1、2、3の比較は以下の通りである。

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算定要件の詳細
施設基準
体制要件
特別調剤基本料を算定している場合は一部を除き、算定不可能である。
A:
情報提供先が特別な関係を有する医療機関である場合は算定不可能
つまり敷地内薬局→敷地内医療機関への情報提供の場合は不可能
B:
いずれの場合においても算定不可能
施設基準以外の算定要件
算定上限回数
月1回に限り算定可能である。
患者1人につき同一月に2回以上服薬情報等の提供を行った場合においても、月1回のみの算定である。
複数の保険医療機関の医師又は歯科医師に対して服薬情報等の提供を行った場合は、医師又は歯科医師ごとに月1回に限り算定できる。
処方箋を発行していない保険医療機関の医師又は歯科医師に対して服薬情報等の提供を行った場合は、必要に応じて処方箋を発行した医療機関の医師又は歯科医師に対して同様の服薬情報等を提供することで、医師又は歯科医師ごとに月1回に限り算定できる。
算定条件
算定にあたって、以下の条件がそろっていなければならない。
①
保険医療機関の求め
②
患者の同意
患者の同意に関しては後述する補足(「本人の同意」の考え方)を参照。
③
調剤後における患者の服用薬及び服薬状況の把握(フォローアップ)
④
患者が現に診療を受けている保険医療機関に対する文書による情報等の提供(トレーシングレポートの作成)
- 情報提供内容については薬剤服用歴に記録する。(文書等の写しを薬剤服用歴等に添付する等の方法により保存)
【保険医療機関に対する情報提供内容】
ア
当該患者の服用薬及び服薬状況
イ
当該患者に対する服薬指導の要点
ウ
服薬期間中の患者の状態の変化等、自覚症状がある場合はその原因の可能性がある薬剤の推定
具体的には、以下に掲げるケースで算定可能である。
- 処方箋を発行した保険医療機関が患者の服用薬の残薬の報告を求めているケース。
保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、残薬が生じている場合はその理由を薬学的に分析した上で当該保険医療機関に対して情報提供を行うことで算定できる。- 単に確認された残薬の状況を記載するだけではなく、その後の残薬が生じないために必要な内容を併せて記載すべきである。そのため、情報提供後の患者の服薬状況を継続して把握しておく必要がある。
- 調剤基本料の「注11」に掲げる医師の指示による分割調剤及びリフィル処方箋による調剤において、2回目以降の調剤時に患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、処方医に対して情報提供を行うケース。情報提供には次に掲げる事項を含める。
- 残薬の有無
- 残薬が生じている場合はその量及び理由
- 副作用の有無
- 副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定
- 保険医療機関からの求めに応じ、入院前の患者の服用薬について確認し、依頼元の医療機関に情報提供したケース。
情報提供書の様式
別紙様式1-1又はこれに準ずる様式の文書等に必要事項を記載する。
留意点
服薬期間中の体調の変化等の患者の訴えや自覚症状がある場合
患者の自覚症状が薬剤の副作用によるものか否かに関する分析結果も含めて情報提供する。
また、患者に対する服薬指導は、その分析結果を踏まえたものとする。
患者の自覚症状の分析に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とする。
補足
「本人の同意」の考え方
個人情報保護法により、個人情報の第三者への提供は「本人の同意」が原則義務付けられているため、服薬情報提供にあたっても患者の同意が必要となる。
以下の場合に「本人の同意」があったものと考えることができる。
①
適切な医療サービスを提供する目的において個人情報の利用範囲を施設内への掲示している場合
患者側から特段明確な反対・留保の意思表示がない場合には、個人情報の利用について同意が得られているものと考えられる。
②
要配慮個人情報を書面又は口頭等により本人から適正に直接取得する場合
本人が情報を提供したことをもって、当該情報を取得することについて本人の同意があったものと解される。
服薬情報等提供料1についての原文
他年度の改定内容
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:林 亜紀(はやし あき)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 PdM
救急医療機関にて診療報酬請求業務を担当した後、医療DXに携わりたいとの考えからエンジニアとしてメドピア株式会社へ参画。「kakari」「やくばと」のサーバーサイドエンジニアとして開発/運用を担当。現在は「kakari調剤報酬事典」の企画開発の責任者を務める。
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