2024年度(令和6年度)調剤報酬改定の内容に準拠
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
公開日2024/05/30
最終更新日
目次
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の点数
- 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1(処方箋交付後)
- イ 残薬調整に係るもの以外
- 40点
- ロ 残薬調整に係るもの
- 20点
- 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料2(処方箋交付前)
- イ 残薬調整に係るもの以外
- 40点
- ロ 残薬調整に係るもの
- 20点
算定上の注意点
- 特別調剤基本料Bを算定する薬局は算定不可である。
- 調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算、服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者については、算定しない。
算定要件の要約
背景
- 医薬品の適正使用の推進に向けて、薬局における疑義照会の評価の一環として2016年度改定で新設された。
- 2016年度改定では「重複投薬・相互作用防止加算」の算定対象の拡大に伴い、「重複投薬・相互作用等防止加算」と名称が変更され、併用薬との重複投薬や相互作用、残薬に加えて、その他薬学的観点から必要と認められる事項が算定対象になった。これに伴い、在宅患者についても同様に医師と連携して服用薬の減薬等に取り組んだことを評価するため「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」として新設された。
- 2024年度改定では、算定要件の見直しがされた。在宅医療において、在宅医との同行や連携時に処方箋発行前に処方提案内容が反映された場合、疑義照会として成立せず、寄与した行為が評価されていなかった。しかし、2024年度改定より、処方箋交付前の提案内容が反映された場合にも算定できるものとして要件が見直された。薬剤師として受け身の姿勢ではなく、能動的に医師と連携を取っていくことが今後もさらに期待される。
要点
薬剤服用歴等又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に処方箋交付前の処方提案もしくは、処方箋交付後の疑義照会を行い、処方に変更が行われた場合に算定する。処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴等に記載する
算定対象となるケース、算定対象外となるケースは以下の通りである。
- 重複投薬や相互作用の他、残薬の調整も当該加算の算定対象となる。
- 医薬品同士の相互作用のみならず、患者のアレルギー歴・副作用歴を踏まえての処方変更も当該加算の算定対象となる。
- 薬学的観点からの薬剤の追加、投与期間の延長も当該加算の算定対象となる。
- 同一医療機関、同一診療科の処方箋であっても算定対象となる。
- 薬局に在庫がないという理由での処方変更については薬学的観点とは認められず、算定対象外になることに注意。
2024年度(令和6年度)調剤報酬改定のポイントは以下の通りである。
- 処方箋交付前の薬剤師による提案に起因する処方変更も評価の対象となった。
- 残薬調整の場合は重複投薬・相互作用等防止加算と同様、30点→20点に減算された。
- 「2」を算定する場合の薬歴に記録が必要なものとして「処方提案を実施した日時」である点に注意する。
- 処方箋交付前後に係わらず、処方内容の変更は必須である。

注:スマホ・タブレットの方はズームしてご覧ください。
算定要件の詳細
施設基準
なし
施設基準以外の算定要件
算定上限回数
処方箋受付1回につき1回算定可能である。
算定対象患者
以下のいずれかに当てはまる患者に対して算定可能である。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者
- 在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準に規定する居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合に限る。)を算定している患者
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準に規定する介護予防居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合に限る。)を算定している患者
算定条件
薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して処方箋の処方内容に係る照会又は患者へ処方箋を交付する前に処方内容に係る提案を行った結果、処方に変更が行われた場合に算定する
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1
受け付けた処方箋の処方内容について処方医に対して連絡・確認を行い、処方に変更が行われた場合
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料2
処方箋の交付前に処方しようとする医師へ処方に係る提案を行い、当該提案に基づく処方内容の処方箋を受け付けた場合
残薬調整に係るもの以外の場合
次に掲げる内容について、処方医に対して連絡・確認もしくは処方前の処方提案を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
(イ)
併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
(ロ)
併用薬、飲食物等との相互作用
(ハ)
そのほか薬学的観点から必要と認める事項(アレルギー歴や副作用歴などの情報に基づき処方変更となった場合や薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合等)
残薬調整に係るものの場合
残薬について、処方医に対して連絡・確認もしくは処方前の処方提案を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
薬剤服用歴等への記載
「1」の場合
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を記載する。
「2」の場合
処方箋の交付前に行った処方医への処方提案の内容(具体的な処方変更の内容、提案に至るまでに検討した薬学的内容及び理由等)の要点及び実施日時を記載する。
- 医療従事者間のICTを活用した服薬状況等の情報共有等により対応した場合には、処方提案等の行為を行った日時が記録され、必要に応じてこれらの内容を随時確認できることが望ましい。
例えば往診同行時の薬剤師による処方提案に起因する処方変更も実際にはありましたが、本取り組みに係る点数を算定しにくい状況でした。2024年度改定により、処方提案および処方変更のタイミングとして「処方箋交付前」も追加されました。
通常の疑義照会においては日時を記録することは常態化していると思います。一方で在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料2を算定する際に必要な記録が「処方提案の日時」である点に注意しましょう。
記録の手間は発生しますが、薬剤師の腕の見せどころですので、積極的に算定していきましょう。
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料についての原文
他年度の改定内容
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:山田 輝(やまだ ひかる)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
新卒時は、調剤のみならず地域住民の生活全体を捉えたくドラッグストアに入職。OTCに加え日用品や介護用品を身近に感じながら、調剤をメインに薬局業務に従事した。今後の薬局の在り方として「DXによるかかりつけ化」は切り離せないものと感じ、メドピア株式会社へキャリアチェンジ。店舗管理業務やレセプト請求業務の経験を活かし、現在は「やくばと」や「kakari」の営業職として、日々医療機関及び薬局法人を相手に業務を遂行している。
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