2024年度(令和6年度)調剤報酬改定の内容に準拠
在宅薬学総合体制加算
公開日2024/05/30
最終更新日
在宅薬学総合体制加算の点数
- 在宅薬学総合体制加算1
- 15点
- 在宅薬学総合体制加算2
- 50点
算定上の注意点
関連項目
算定要件の要約
背景
- 在宅患者における多種多様かつ高度化するニーズに応えることのできる機能を充実させるべく、2024年度調剤報酬改定では従来の「在宅患者調剤加算」を廃止し、評価体系が見直された。
- 在宅薬学総合体制加算2を算定するには、在宅薬学総合体制加算1の算定要件に加えて、医療用麻薬の備蓄・指導や無菌製剤処理を実施する設備を備えることが求められている。より高度なニーズに対応している薬局がより高い点数を算定できることから、在宅医療のさらなる推進が期待されていることが読み取れる。
要点
- 在宅患者に対する薬学的管理・指導を行うために必要な体制を評価する点数である。
- 下記の点数を算定する患者等が提出する処方箋を受け付けて調剤を行った場合に算定できる。
- 在宅協力薬局が処方箋を受け付けて、訪問薬剤管理指導もしくは居宅療養管理指導を行った場合は、当該加算を届け出ている在宅協力薬局に限り、当該加算を算定できる。
算定要件の詳細
施設基準
体制要件
在宅薬学総合体制加算1の施設基準
(1)
地方厚生(支)局長に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行っている。
(2)
直近1年間における以下の算定回数が計24回以上である。
- 在宅協力薬局として連携した場合を回数に含む。(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)
- 同等の業務を行った場合を回数に含む。「同等の業務」とは、在宅患者訪問薬剤管理指導料で規定される患者1人当たりの同一月内の算定回数の上限を超えて訪問薬剤管理指導業務を行った場合を含む。
(3)
緊急時等に、開局時間以外の時間でも在宅業務に対応できる体制が整備されている。
緊急時等に対応できる体制の整備については、在宅協力薬局の保険薬剤師と連携して対応する方法を講じている場合も含む。(4)
地域の行政機関、保険医療機関、訪問看護ステーション、福祉関係者等に対して、急変時等の開局時間外における在宅業務に対応できる体制(医療用麻薬の対応等の在宅業務に係る内容を含む。)に係る周知を、自局や同一グループで十分に行なっている。また、地域の行政機関又は薬剤師会等を通じて十分に行っている。
- 保険薬局が実施可能な在宅業務の内容についても周知を行うことが望ましい。
(5)
在宅業務の質の向上のため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づき当該保険薬局で在宅業務に関わる保険薬剤師に対して在宅業務に関する研修を実施する。さらに、定期的に在宅業務に関する外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせている。
- 当該学術研修については、認知症、緩和医療、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた意思決定支援等に関する事項が含まれていることが望ましい。
- 当該保険薬局の保険薬剤師に対して、薬学等に関する団体・大学等による研修認定の取得、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等を行わせていることが望ましい。
(6)
医療材料・衛生材料を供給できる体制を有している。
- 保険医療機関から衛生材料の提供を指示された場合は、原則として衛生材料を当該患者に供給する。その際、衛生材料の費用は、当該保険医療機関に請求することとし、その価格は保険薬局の購入価格を踏まえ、保険医療機関と保険薬局との相互の合議に委ねる。
(7)
麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができる。
在宅薬学総合体制加算2の施設基準
(1)
在宅薬学総合体制加算1の基準を満たす。
(2)
次のア もしくは イを満たす保険薬局である。
ア
以下の①及び②の要件を全て満たすこと。
①
医療用麻薬について、注射剤1品目以上を含む6品目以上を備蓄し、必要な薬剤交付・指導を行うことができること。
②
無菌製剤処理を行うための無菌室、クリーンベンチ、または安全キャビネットを備えていること。
イ
直近1年間における以下の算定回数が計6回以上である。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の乳幼児加算 もしくは 小児特定加算
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の乳幼児加算 もしくは 小児特定加算
在宅患者緊急時等共同指導料の乳幼児加算 もしくは 小児特定加算
(3)
2名以上の保険薬剤師が勤務し、開局時間中は、常態として調剤応需の体制をとっている。
(4)
直近1年間に、かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が24回以上であること。
(5)
医薬品医療機器等法第39条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けていること。
届出に関する事項
施設基準に係る届出は、別添2の様式87の3の5を用いること。
施設基準以外の算定要件
算定上限回数
処方箋の受付1回につき1回
算定対象患者
(1)
在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者
- 在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定している患者を除く。
(2)
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者
- 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料を算定している患者を除く。
(3)
在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者
(4)
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第十九号)に規定する居宅療養管理指導費を算定している患者
- オンラインでの居宅療養管理指導の場合を除く。
(5)
指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成十八年厚生労働省告示第百二十七号)に規定する介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者
- オンラインでの居宅療養管理指導の場合を除く。
留意点
- 前述の施設基準に規定する実績回数については、前年5月1日から当年4月末日までの実績により判定し、当年の6月1日から翌年の5月末日まで所定点数を算定できるものとする。具体的には、以下の実績回数のことを指す。
- 在宅薬学総合体制加算1の(2)で規定する訪問薬剤管理指導もしくは居宅療養管理指導の実績回数
- 在宅薬学総合体制加算2の(2)で規定する乳幼児加算もしくは小児特定加算の実績回数
- 在宅薬学総合体制加算2の(4)で規定するかかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料の実績回数
- かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数を計算するにあたり、同一グループの保険薬局の勤務者(常勤・非常勤を含めた全ての職員をいう。)とその家族(同居か生計を一にする者をいう。)に対する算定回数を除いて計算する。
在宅薬学総合体制加算についての原文
監修者のご紹介

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師
「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。
執筆者のご紹介

執筆者:林 亜紀(はやし あき)
メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 PdM
救急医療機関にて診療報酬請求業務を担当した後、医療DXに携わりたいとの考えからエンジニアとしてメドピア株式会社へ参画。「kakari」「やくばと」のサーバーサイドエンジニアとして開発/運用を担当。現在は「kakari調剤報酬事典」の企画開発の責任者を務める。
お問い合わせについてのご案内
当サイトでは調剤報酬に関する直接のお問い合わせには対応しておりません。調剤報酬算定に関する詳細な情報や具体的な質問については、厚生労働省またはお近くの地方厚生局に直接お問い合わせいただくようお願い申し上げます。
免責事項:当サイトに掲載されている情報の正確性には万全を期しておりますが、解釈に幅があるもの、関係機関や担当者によって対応が異なる可能性がございます。利用者が当サイトの情報を用いて行う一切の行為について、当社は責任を負いません。