2024年度(令和6年度)調剤報酬改定の内容に準拠

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

公開日2024/05/30

最終更新日

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在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の点数

1 計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うものの場合
(新感染症の患者の場合はこの限りでなく算定可能)
500点
2 計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うもの以外の場合
200点
在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料
59点

算定上の注意点

特別調剤基本料Bを算定する場合は算定不可である。

在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料を算定する場合には、在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算在宅中心静脈栄養法加算は算定できない。
また、麻薬管理指導加算乳幼児加算小児特定加算については、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料と比較して低い点数の算定となる。

関連項目

算定要件の要約

背景

  • 訪問薬剤管理指導を実施している患者の状態が急変した場合等、計画的な対応とは別に主治医の求めに応じて訪問し、対応することで算定できる点数である。
  • 1994年度改定にて「在宅患者訪問薬剤管理指導料」が新設されてから、2008年度改定で、在宅医療領域における緊急対応に対しての評価が新設された。
  • 地域におけるチーム医療の役割が求められている項目と言える。
  • また、2022年度改定では主治医以外の保険医の求めによる緊急訪問においても算定が可能となり、連携の対象範囲がさらに広がった。
  • これは実態として、主治医以外の処方においても、個別の指示による訪問薬剤管理指導が行われており、在宅医療に貢献し続けていたことが背景にある。
  • 2024年度改定では、新興感染症等の自宅及び施設入所の患者に対しての対応が評価されることとなり、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の対象範囲が拡大した。

要点

  • 患者の体調急変時に主治医(患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医)や連携する他の医療機関の医師の求めによって、緊急で、患者に対して必要な薬学的管理指導を行うことによって算定できる。
  • 原則、月4回まで算定可能
  • 2024年度(令和6年度)調剤報酬改定から下記の場合は月8回まで算定可能
    • 末期の悪性腫瘍の患者
    • 注射による麻薬の投与が必要な患者
  • 夜間訪問加算、休日訪問加算、深夜訪問加算の新設
  • 新興感染症等で患者宅等に訪問した場合も在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1を算定可能になった

算定要件の詳細

施設基準

なし

施設基準以外の算定要件

算定上限回数

患者1人につき、在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料の算定も含めて月4回に限り算定可能である。
ただし、①末期の悪性腫瘍の患者、② 注射による麻薬の投与が必要な患者の場合は月8回算定可能である

  • 特に医療上の必要がある場合であって、保険医の発行した処方箋に基づくときに限り、月8回を超えて算定することができる。
上限回数について在宅患者訪問薬剤管理指導料との比較
上限回数について在宅患者訪問薬剤管理指導料との比較

注:スマホ・タブレットの方はズームしてご覧ください。

算定対象患者

通院が困難なため在宅での療養を行っている患者に対して算定可能である。

算定条件

いわゆる通常の在宅患者の場合

以下の条件を満たす際に、算定する。

  1. 1.

    訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師による対応

  2. 2.

    上記算定対象患者の急変等の状況下

    • 当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導の対象疾患の急変等の場合は在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1を、それ以外の疾患の急変等の場合は在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2を算定する。
  3. 3.

    主治医または連携する他の保険医の求め

  4. 4.

    当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を実施

    • ただし、オンラインで指導を薬学的管理指導を実施した場合には、在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料(59点)を算定する。
    • オンライン服薬指導のルールについては「服薬管理指導料」のページで詳しく記載している。
  5. 5.

    当該指示を行った医師に対し、訪問結果についての文書提供

新感染症の患者の場合

以下の条件を満たす際に、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1を算定する。

  1. 1.

    指定の感染症の患者

  2. 2.

    患家または宿泊施設で療養する者、介護老人保健施設、介護医療院、地域密着型介護老人福祉施設、または介護老人福祉施設に入所する者

  3. 3.

    処方箋を発行した医師の指示

  4. 4.

    当該保険薬局の薬剤師が患家または当該施設を緊急に訪問

  5. 5.

    当該患者またはその家族等に対して対面による服薬指導

  6. 6.

    その他の必要な薬学的管理及び指導を実施し、薬剤を交付した場合

主治医と連携する他の保険医の求めによって訪問薬剤管理指導を行った場合

主治医にも必要な情報提供を文書で行う。

  • 薬学的管理指導計画書等に主治医と連携する保険医の氏名と医療機関名を記載すること。
在宅協力薬局について

在宅協力薬局とは、訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(在宅基幹薬局)が、連携する他の保険薬局のことである。
緊急その他やむを得ない事由がある場合は、在宅基幹薬局の薬剤師に代わって訪問薬剤管理指導を行うことができる。

その場合、以下の要件を満たしている必要がある

  • 薬学的管理指導計画の内容を共有している
  • 患者または患者家族等の同意を得ている

【在宅協力薬局の薬剤師が行うこと】
薬剤服用歴等を記載し、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有する。

【在宅基幹薬局が行うこと】
訪問薬剤管理指導の指示を行った医師または歯科医師に対する訪問結果についての報告をする。
調剤報酬明細書に当該訪問薬剤管理指導を行った在宅協力薬局名及び当該訪問薬剤管理指導を行った日付を記載する。

【在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定】
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定は在宅基幹薬局が行う。

  • 在宅協力薬局が処方箋を受け付け、調剤し、訪問薬剤管理指導を行った場合は、調剤技術料及び薬剤料等は在宅協力薬局で算定する。調剤報酬明細書の摘要欄には在宅協力薬局が処方箋を受け付けた旨を記載する。
薬剤服用歴等への記載事項
  1. 1.

  2. 2.

    在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定に必要な事項

    • 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
    • 主治医または連携する他の保険医から緊急の要請があった日付、当該要請の内容、当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨
    • 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)
    • 保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
夜間/休日/深夜訪問加算(2024年度の改定で新規追加)
  1. 夜間訪問加算 400点

  2. 休日訪問加算 600点

  3. 深夜訪問加算 1,000点

下記の条件を満たす場合に算定可能

  1. 1.

    在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1

  2. 2.

    末期の悪性腫瘍の患者 or 注射による麻薬の投与が必要な患者

  3. 3.

    保険医の求め

  4. 4.

    開局時間以外の夜間、休日または深夜に対応

  5. 5.

    緊急に患家

  6. 6.

    必要な薬学的管理および指導

留意点

  • 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
    • 特殊な事情とは、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しない場合等を指す。
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導に要した交通費は、患家の負担とする。
距離制限

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経過措置

2012年3月31日以前に訪問薬剤管理指導についての医師の指示があった患者については、 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合であっても算定可能である。

夜間/休日/深夜訪問加算について

  • これまで夜間・休日等に訪問した際の加算がありませんでしたが、評価されました。

新感染症の対応について

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在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料についての原文

他年度の改定内容

監修者のご紹介

小川 拓哉(おがわ たくや)

監修者:小川 拓哉(おがわ たくや)

メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師

「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。

執筆者のご紹介

山田 輝(やまだ ひかる)

執筆者:山田 輝(やまだ ひかる)

メドピア株式会社 事業本部 医療機関支援PF事業推進部 薬剤師

新卒時は、調剤のみならず地域住民の生活全体を捉えたくドラッグストアに入職。OTCに加え日用品や介護用品を身近に感じながら、調剤をメインに薬局業務に従事した。今後の薬局の在り方として「DXによるかかりつけ化」は切り離せないものと感じ、メドピア株式会社へキャリアチェンジ。店舗管理業務やレセプト請求業務の経験を活かし、現在は「やくばと」や「kakari」の営業職として、日々医療機関及び薬局法人を相手に業務を遂行している。

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